当時測りきれなかった性能が今もなお光る
1950年代に設計されたこの沈胴ズミクロンは、当時の測定技術では捉えきれなかったほどの解像力を秘めています。
現代の高画素なデジタル機で撮影しても通用するどころか、ハイレベルな写りに驚かされます。
また、シャープなだけでなく、現行の高級レンズでは得がたいオールドレンズらしい味わいも持ち合わせています。
中心部のシャープネスは驚くほど高く、思わず等倍表示したくなる描写。
一方で、周辺部に向かって描写がじわりと蕩けていくような味わいが、写真に没入感を与えてくれます。
淡く落ち着いた発色、クセのない自然なボケも相まって、バランスがとても心地よい。
気がつけば、もう1年間ずっとこのレンズを愛用しています。
趣味でじっくり腰を据えて撮影を楽しむには、この上ないレンズです。
今回使っている個体はかなり状態が悪く、格安で手に入れたもの。
ですが実際に装着して試写してみると、解像の鋭さが他の個体とは群を抜いていました。
トリウムズミクロン……というほどではないにせよ、状態の良い沈胴ズミクロンと比べても、遥かに勝っていました。
Leicaのオールドレンズにはかなり個体差があり、実際に撮ってみるまで良し悪しがわからない、そんなことを実感させられる一本でした。

撮影 : 2024年秋 – 銀座 ・ 中野